二遊間の入れ替えについて

2023年に主にセカンドを守ったキム・ハソンとショートを守ったサンダー・ボガーツが2024年は守備位置を交代するようです。ハソンの方が守備が上手いという前提なら、野球のセオリーに基づいた至極真っ当な判断ですが実際チーム内で守備位置を交代しただけでどの程度失点を減らせるんでしょうか。

ハソンの方が守備が上手い(=アウトを多く取る)と仮定した場合、ボガーツと守備位置を交代したら確かにショートが取るアウトは増えます。しかしセカンドが取るアウトは減ります。この差がプラスになれば、つまりショートの守備機会がセカンドより多ければ守備位置交代は吉と出ます。

ということで2023年のショートとセカンドの守備機会の差を見てみましょう。守備機会と言ってもOAAの算出にあたって副次的に算出されている「Attempts」というスタッツで、選手の能力によって左右されることのないであろう守備機会です。

teamss2bss-2b
wsh694552142
oak676535141
tex712608104
hou64254399
mia63153497
tb66658086
cin61353875
laa62155467
nym58051862
sd62558639
phi68864939
lad61357835
bal61958732
kc62860226
bos60758918
chc66164417
stl64462816
nyy57556213
mil5885799
det6256169
tor5405391
col627628-1
pit555557-2
min572581-9
sea594618-24
atl573604-31
ari656690-34
sf602651-49
cle598650-52
cws549634-85
平均61959128

打者は右打者の方が多く(2023年右打席割合は59%)、左右限らず逆方向へのゴロは少ない(ゴロのうち逆方向なのは12%)のでショートの方が守備機会は多くなるんですが、2023年の実際の比は51:49なので思ったより少ないです。

これはサードとファーストの違いが大きく関わっています(lineup_positionなのでSS分類と2B分類の範囲の違いじゃないですよ)。サードは殆どの状況で打球処理に最適な守備位置につけますがファーストは牽制球に備えるために打球処理には不適切な守備位置につかざるをえませんし牽制がない状況でも送球に備えた守備位置になる頻度はサードよりも多いです。

長ったらしく書きましたが要するにサードはショートの打球も捌いているがファーストはセカンドの打球をほぼ捌いていないということです。

ハソン2023年OAA内訳

例えばこのハソンのOAA内訳。Lineup Positionの方を見れば3Bとして88回、SSとして60回守備機会があったことが分かりますがField Locationの方を見れば3Bの位置では83回SSの位置では65回の守備機会があったことが分かります。下記の画像を見れば分かりやすいですが3Bとして出場しているときにSSの範囲で守備機会が5回あったということです。シフト規制がされた今季でもこのパターンは見られますが1Bが2Bの範囲に入ることは相当稀でした。

Field Location Key

shiftがなくなって次はshadeですね

話を戻します。そんなこんなでシフトがなくなった2023年以降はショートとセカンドでさほど守備機会が変わらない時代が(戻って?)きたのかもしれません。参考までにOAAの算出対象&シフト全盛の2016~2022年の守備機会(Attempts)が下記の表です。

teamss2bss-2b
oak43103557753
tex43693752617
bos39933376617
sd40863487599
sf42303633597
chc42563718538
tb40613529532
sea39923460532
ari40363507529
wsh40823561521
hou39643448516
det42073703504
lad41183623495
mil40793586493
cws41063631475
nym38113344467
kc42883853435
tor40693656413
min39743598376
bal41733803370
nyy38983531367
mia38633507356
laa39053551354
atl40463711335
phi40393711328
cle38733586287
cin38133526287
pit38333649184
stl4012391696
col4014397044
平均40503616434
シーズン換算63656868

シーズン換算ではちゃんと短縮シーズン補正もしてます

2023はショートとセカンドの差が28だったのに対しシフトのあった2016~2022では68となっています(SSと2Bの総量に変化はありません)。たまたまの可能性があるのかもしれませんが、自由に守れるときとそうでないときを比べると自由に守れるときの方がショート≒一番守備が上手い人の守備機会を多くしやすいのは何らおかしいことではないと思いますね。

2023年を参考にするならSSと2Bの守備位置を交換したときの恩恵は、ポジション補正をした(元セカンドのアウト確率ー元ショートのアウト確率)*28で増えるアウトの量が予想できます。ただこのポジション補正が厄介ですしポジション適正や打球分布やランダムバリエーションの範囲等のガチ予想はなかなかに骨が折れます。

ということで概算です。

2021-2023 キム・ハソン 2021~2023 キム・ハソン

2021-2023 サンダー・ボガーツ 2021~2023 サンダー・ボガーツ

守備能力比較は最低限Field Locationは揃えるべきなのでサンプルが一番大きいSSでの比較をします。

ハソンは648Attemptsで7.5 - 8.499… = +750% - +849%稼いでいるので1Attemptあたり1.16% - 1.31%の追加アウト確率が期待できます。

ボガーツは1461Attemptsで-750% - -849%稼いでいるので1Attemptあたり-0.51% - -0.58%の追加アウト確率が期待できます。

2Bでの結果も参照していいかなと思いましたが、227Attemptsは弱いので迷いどころ。

SSでの成績をもとに二人の差を予想するとハソンはボガーツより1.67 - 1.89%ほどアウト確率が高いと考えられます。2023年のセカンドとショートの守備機会の差は28でしたので増えるアウトは0.47 - 0.53個ほどとなります。失点換算するなら0.35~0.40点ほどですね。

ハソンとボガーツの年齢を考えると来年さらに守備能力の差が広がる可能性は十分ありますし、パドレスのSS-2Bの守備機会が多くなる可能性もあります。ボガーツがセカンド適正が高くハソンがショート適正が高い可能性も(上記のOAA詳細を参考にすれば)十二分にあります。ただそれでも大した量にはならないでしょう。

SS-2Bの守備機会の差を100、アウト確率の差を6%と相当大きく見積もっても増えるアウトは6つです。まあ、失点が5点減るなら貯金が1つ増えると考えたら大きいと思えるかもしれません。ただ最大レベルでこれなのでSSと2Bのスイッチは適正を慎重に考慮することは必要かなと思います。

ダラダラ書いてしまいましたが調べてて面白いなと思ったことは、ショートとセカンドの守備位置交代ではそんな恩恵は受けられないではなく、シフト規制によって守備が一番上手い人の守備貢献量が抑えられる可能性が高いというシフトを効果的に利用していたら当たり前になる事実が確認できたことですね。

トレバ-(^o^)丿
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